令和元年10月18日(金)浅草エーラウンドのピッグスキンの鞣しと剥きの工場見学会に参加してきました。
ピッグスキンのできるまで
原皮の仕入れ
食肉加工の工場から輸送、生のままや塩漬けさらた物を原皮という
寒いところの豚は、脂肪が厚くきめが細かい(青森など)
水漬け
汚れや塩分を水洗いして生皮に戻す。
豚舎の衛生度で傷の入り方が違う。汚いところは、豚がかゆがったりして擦りつけるので皮膚に傷が入りやすい、暑さにも敏感で夏よりも冬にかけて育った豚の本質が良い。ドラムを回す時間も夏は15分程度から冬になると12時間も回すことがあり、加減が難しい。
裏打ち
裏側(肉面)についた脂肪や肉片を取り除く。
脱毛石灰漬け
石灰液に漬け込んで毛や表皮を溶かす。
フレッシング(分割)
機械で銀面と脂肪面を二層に分割する。
垢出し
皮の中の石灰を薬品で取り除く。
再石灰漬け酵素
皮の繊維をほぐす。
脱灰
石灰を取り除く
ベーチング
銀面を平滑にする。
ピックリング
鞣し剤が染みこみやすいように酸性にする
鞣し
クロムやタンニンで化学変化させ皮が革になる
クロム剤
タンニン剤 昔、職人さんが二日酔いで仕事をしていると、タンニンを指に付けて舐めていたそうな、効果の程は定かでは無い、食せると言うことかw
水絞り
ローラで挟んで余分な水を抜く
シェービング
皮の厚さを揃える
こいつは、業者が引き取り、コラーゲンやらなんやらに加工される
再鞣し
堅さや風合いなどを調整するために色々な方法でもう一度なめす
中和
染料や油が染みこみやすいように酸を中和
染色・加脂
油を加えることで柔らかくする
乾燥
暑い作業で汗をかいてもすぐに乾いてしまう
金網で出来たドラムがあり、スエード・ヌバック用、ダボで革を引っ掛け回すと光沢が出てしまうことがあり、それを避けるために板で革を回すようになっている
味入れ
ステーキングで革を傷つけないように水分を与える
ステーキング
機械でもんで柔らかくする
ネット張り
熟練のいる作業、早さだけで無く、どこにクリップを掛けるか見極める
放射状に革は伸びる
塗装
美しさや耐久性を高める
アイロン仕上げ
艶を出したり、シボを出す
傷の多い革は、修正されてスエード、ヌバック、それなりに
坪入れ(軽量)
デシ単位で面積を測量する。精密な機械には東京の検疫が入る。裏面にスタンプ表示
各種加工
革剥き、エンボス、パンチング、フィルム貼り、プリントなど
剥き
刃を研ぎながら剥いているのは、小さい剥き機と同じだが、迫力が違う(笑)
牛革の半裁剥き
出荷
革問屋やお客様に届ける
(メモ)
東京都の浄水で工業用水の施設が老朽化、改装、新設スルとなると費用をまかなうために、水道料金が10倍以上になってしまう問題
元々は、地盤沈下を鑑みての工業用水化
原皮は食肉加工からでる皮を使用
削ぎ落とす部分は油、ラード、肥料などに加工される
後継者不足で衰退している
墨田区で豚、足立区で牛の鞣し工場があったが、足立区では廃業してしまった
中国など外国では豚の皮も食べるために、豚の鞣しはほとんど行われていない
そのため日本のタンナーが多くを輸出している。過去に輸出拡大のため価格を下げたことがその後裏目に出た。日本では、豚は低価格低品質の風評が広まってしまった。柔らかく、丈夫で通気性の良い豚革は、硬くてパリッとした仕上げも可能になるという。
豚とクロム何も悪いことをしていないのに、評価が低すぎる。せっかくの技術革新が、技術者の情熱だよりになっていて、予算が釣り合わない。環境が手品師と似ている。一人で納得する。
三価クロムでなめし、染色その他の加工で輸送途中にもし化学変化が起こるなどして六価クロムに変化してしまわないかなど、大手企業の厳しい検閲がある。そんなことあり得るのか?
豚コレラ問題で、なめし後の革輸出にまで波及し、中国などは製品化された物にも難色を示している。
大量の水と薬品にさらされ、最後には200°で2トンのプレスを入れられ生き残れるコレラ菌は居るのだろうか?
東京都立皮革技術センター
番外編
京成八広駅から東京都立皮革技術センターに向かう途中、ミニ・マルヤマを発見
日本にミニクーパーを広めた功績を称えて、エリザベス女王からサーの称号を頂いている