寄席で毎日出演していて、衣装をクリーニングに出すタイミングが難しい。
まして、現在お気に入りの衣装は4着しかない。(太って着られなくなったとも言う)本席にはおきっぱなしナノで二芝居に出させてもらったら、2着+代演用に1着+営業用に1着でぎりぎり;しばらく本席(自分の出番が決まっている10日間一芝居のこと)がないので、よしクリーニングにだそうとすると、代演の依頼が来たりする。それはそれでうれしいのだが、衣装はクリーニングに出さずそのまま着てしまう。うは、ばっちい。
噺家さんは自分で洗濯できる着物が便利らしい。スーツで洗濯可能なのはあるのかな?
シャツが問題だ。節電で舞台も暑いので、シャツは汗まみれ、クリーニング代もばかにならないし、自分でアイロンがけしてみようかなと思い立った。
アイロンは鞄作りが趣味のときに使っていただけで、シャツにかけたことがない、そこでネット検索すると、あるはあるは、ネットは本当に便利だ。特にすごい画像はこのURLで
http://www.youtube.com/watch?v=IeA9gH_iWXY&feature=related
もう、お見事トト言うしかない。
衣装のドレスシャツはドレープに注意しながら、職人さんの3倍以上時間がかかってとにかくたためた。3枚の衣装用にかけ終わって、もう少しシャツにアイロンをかけてみたくなる(笑)かけるのは普段着、私の普段着はほとんど木綿のシャツだ。綿シャツはアイロンをかけないで洗いざらしで着るのがおしゃれだという全く理由のない風評を信じ込んでいたので、アイロンなどかけたことがない、でも今はかけてみたい。と、言うわけで作業に突入した。
ぐちゃぐちゃなボタンホールもピーンとして気持ちいい。これならボタンも掛けやすそうだ。折り曲がっていた襟、袖口もその形を取り戻した。
そこでふっと思ったのが、発想は飛ぶのだけど、なぜか芸の品格。面倒だと思っていたアイロンがけもやってみたらたいしたことはない、いや少し楽しい。ひょっとしたら偉人と凡人の違いってこんな小さなところでしかない様な気が頭の中で膨れあがる。売れない手品師のセリフではないのだけど、めちゃくちゃあたりまえの事で見過ごしている部分を着実にこなしているのが偉人?そんな発想だった。アイロンでぴしっとなった木綿のシャツを着てみたら、自分で掛けた勢でもあるのか、気持ちまでぴしっとした。この感覚は不思議だった。
人間てちょろいななどと思いつつも気持ちが良い、よし、この勢いで散髪に行ってこよう。